DEIとは?企業ができる取り組みや、学術的な定義や具体事例を解説

 日本では、高度経済成長期の日本型雇用慣行から、国際化と労働人口の減少に伴う人材管理の多様化へと変化がありました。女性の労働力参加の増加、外国人労働者の受け入れ、障がい者雇用の推進など、社会全体の多様化が進んでいます

これらの変化は、企業にDEI(Diversity,Equity and Inclusion)の重要性を認識させ、多様な人材を受け入れるための施策やプログラムの導入を促しています。日本企業は、グローバル化の進展とともに、国際競争力を高めるためにダイバーシティ&インクルージョンを戦略的に取り入れる動きが加速しています。

本記事では、DEI(Diversity,Equity and Inclusion)の定義から、DEIを職場で成功させるための実践的な戦略、プログラムの特徴、および障壁の克服方法について詳しく解説しています。職場におけるDEIの重要性とその実装方法を学んで行きましょう。

DEI(Diversity,Equity and Inclusion)の定義とは

DEIとは、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂性(Inclusion)の頭文字を取ったもので、これらは相互に関連し合いながら、より公正で包括的な環境を作るための指針を提供します。多様性は、人々の違いを認識し、尊重することを意味します。公平性は、個人のニーズ、条件、能力に応じた機会とリソースの提供を指し、包摂性は、異なる背景や視点を持つ全 員が価値を感じ、貢献できる環境を作ることを意味します(デロイト, 2020)。

ダイバーシティは「人々の間の違い」として定義され、インクルージョンはこれらの違いを企業文化に組み込むことにより、全員が最大限に貢献できる環境を作ることを指します。この二つは相補的な関係にあり、効果的なDEIの実践は、多様性を受け入れることと、それを組織の強みとして活用することの両方が必要です。

ダイバーシティの分類について

人々の違いは、不変的(性別や民族など変えられない属性)可変的(居住地や職業など変更可能な属性)に分類されます。これらの属性は、個人を独特にする要素であり、組織がこれらの違いを認識し、価値を見出すことが重要です。

DEIを職場で推進する方法は?

企業のDEIに関するアプローチは、抵抗から始まり、同化、分離、そして統合のステージを経て進化します。各ステージは、企業が多様性にどのように対応しているかを反映しており、最終的には多様性を組織の競争力の源泉として完全に統合することを目指しています。 

職場でDEIを推進するためには、まず組織内でDEIに関する共通の理解を築くことが重要です。

次に、DEIに関する具体的な目標と戦略を定義し、これらを実現するためのプログラムやイニシアティブを実施します。これには、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用、公平な昇進の機会の提供、包摂的なカルチャーの醸成が含まれます。重要なのは、これらの取り組みを継続的に評価し、改善していくことです(デロイト, 2020)。

DEIプログラムの利点とは?

DEIプログラムには、組織に対する多くの利点があります。

第一に、多様性の高いチームは、より創造的で革新的なアイデアを生み出す傾向があります。第二に、公平性と包摂性の高い職場環境は、従業員の満足度とエンゲージメントを高めます。第三に、DEIに焦点を当てた企業は、顧客基盤を拡大し、より広い市場にアピールすることができます(デロイト, 2020)。

DEIイニシアティブを評価する方法は?

DEIイニシアティブの効果を評価するには、定量的および定性的な両方の指標を用いることが重要です。

これには、従業員の多様性レベル、昇進や給与に関する公平性、従業員と管理職からのフィードバックなどが含まれます。また、特定のイニシアティブやプログラムが目標に対してどの程度効果があったかを定期的にレビューすることも重要です(デロイト, 2020)。

 DEIトレーニングプログラムを実装するベストプラクティスは?

DEIトレーニングプログラムを成功させるためには、トレーニングが全従業員にとって関連性があり、実践的なものであることを確実にすることが重要です。

トレーニングプログラムは、多様性の価値、偏見の認識と管理、包摂的なコミュニケーションスキルなど、幅広いトピックをカバーするべきです。また、トレーニングは一回限りではなく、継続的な学習と成長のプロセスの一部として設計されるべきです。効果的なDEIトレーニングは、対話とオープンな議論を奨励し、従業員が自分たちの経験を共有し、相互に学ぶ機会を提供します(デロイト, 2020)。

例えば、DEIをグローバルで先駆的に推進する、Microsoftの事例を見てみましょう。

https://www.microsoft.com/en-us/diversity/default.aspx

Microsoftは、ダイバーシティとインクルージョンを推進するために、従来の採用チャネルを超えた採用活動を行い、STEM(科学、技術、工学、数学)領域での人材パイプラインを多様化させる取り組みを始めました

これには、大学の早い段階でテクノロジーに関心を持ってもらう活動や、若い世代への働きかけ、さまざまな施策やパートナーシップを通じた取り組みが含まれます。

Microsoftはまた、退役軍人、他業界の人材、さまざまなライフステージにある人材、自閉症の人材など、まだ未開拓な人材プールへのアプローチも検討しています。このアプローチにより、Microsoftは多様な技術者を採用し、組織内でのダイバーシティとインクルージョンを促進しています(デロイト, 2020)。

このように、DEIに関する取り組みは、多様性を認識し、公平性を推進し、包摂的なリーダーシップを促進することによって、組織内でのイノベーションと成長を支える重要な要素です。DEIの原則を積極的に取り入れ、実践することで、職場はより公正で、より生産的な環境になります。

まとめ

DEI(Diversity, Equity, Inclusion)は、多様性、公平性、包摂性を指し、企業がより公正で包括的な職場環境を実現するための重要な指針です。

高度経済成長期の日本型雇用慣行から、国際化と労働人口の減少に伴う人材管理の多様化に向けた変化が進んでいます。女性の労働力参加の増加、外国人労働者の受け入れ、障がい者雇用の推進などにより、社会全体の多様化が進んでおり、これに伴い企業内でのDEIの重要性が高まっています。DEIの実践は、多様性を受け入れ、それを組織の強みとして活用することにより、企業が国際競争力を高める上で戦略的に重要となっています。

DEIの実施には、組織内での共通の理解の構築、具体的な目標と戦略の定義、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用、公平な昇進の機会の提供、包摂的なカルチャーの醸成などが含まれます。これらの取り組みを継続的に評価し改善することが、成功への鍵とされます。

DEIプログラムの利点には、創造性と革新の促進、従業員満足度の向上、顧客基盤の拡大などがあります。DEIイニシアティブの効果を評価するには、定量的および定性的な指標を使用し、特定のイニシアティブが目標に対してどの程度効果があったかを定期的にレビューすることが重要です。

例えば、MicrosoftはDEIを先駆的に推進する企業の一例として挙げられ、多様な人材の採用やSTEM分野での人材パイプラインの多様化など、幅広い施策を通じてダイバーシティとインクルージョンを促進しています。

DEIの取り組みは、多様性を認識し、公平性を推進し、包摂的なリーダーシップを促進することによって、組織内でのイノベーションと成長を支える重要な要素です。DEI原則の積極的な取り入れと実践により、職場はより公正で生産的な環境に変わります。

参照

– デロイト. (2020). テクノロジー領域で優秀な女性人材を採用・リテンションする方法.

– 中村豊. ダイバーシティ&インクルージョンの基本概念・歴史的変遷および意義.

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